ニトリホールディングスの白井俊之社長
ニトリホールディングス 白井俊之社長に聞く
ネットの巨人、米アマゾンの攻勢が強まる小売業界。家具販売の分野はどうなるのか。郊外に続いて都心でも積極的な出店を続けるニトリホールディングス(HD)の白井俊之社長に、今後の戦略を聞いた。
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高プロ「採用する」100社中6社 朝日新聞アンケート
家具はネット販売が難しい商品です。物流コストがかかりますし、輸送中に傷がついたり、組み立て式の家具はお客様が組み立てられなかったりする場合もあります。ネットだけの販売なら、仮に10個売れていたとしても11個目の不具合による返品や交換で、10個分の利益まで吹っ飛ぶようなものです。
しかし、近くに店舗があると、何かあった場合でも対応でき、コストとサービスでの相乗効果が出やすいんです。実物を見て触って買いたいという人も多い。東京都内や近郊でアンケートをすると、ネットで買った人の半分以上は店舗で商品を試してから買っている。店舗で買うお客様の半分以上が事前にネットで下調べし、ネットをカタログ代わりに使っている。
ですから、ネットと店舗の両方あることが、お客様に一番いいサービスが提供できると考えます。デジタル投資に力を入れ、店頭で商品のバーコードをスマホで読み取って注文できるアプリを開発しました。
2032年に売上高3兆円、国内外3千店(18年2月期はそれぞれ5720億円、523店)が目標です。都心の主要ターミナルはほぼ店ができましたが、東京23区にはまだ空白地帯があります。中国など海外店舗展開も本格化させていきます。
売り上げに占める家具の割合は4割を切り、寝具やカーテン、キッチン用品といった家具以外が6割になりました。住まいに関する品ぞろえが増えることで生活が便利になります。来店頻度も増えれば、人口の少ない地域でも出店ができます。
涼感寝具は機能のレベルを毎年高めています。価格と価値がそろっていなければ、買ってもらえない時代です。開発から物流まで自ら手がけている強みで、思い切っていろんなことをやっていきます。(聞き手・澄川卓也)