エイチ・ツー・オーリテイリングの鈴木篤社長
エイチ・ツー・オーリテイリング 鈴木篤社長に聞く
エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは、阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)を建て替え、6月1日に部分開業させた。インターネット通販での消費が拡大する中、鈴木篤社長に新たな百貨店づくりについて聞いた。
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阪神梅田本店は今回、旧店舗の約80%の面積で部分開業しましたが、出足の売り上げは前年比150%で好調です。地下に復活させた立ち食いフードコート「スナックパーク」は大変な混雑で、お客様に迷惑をかけています。名物の「いか焼き」は、午後8時に見に行くと、まだ行列が続いていました。
阪急百貨店が好調ということもあって、会社全体では4年連続で最高益を更新しています。安定的に利益を上げられる体質になったので、いよいよ阪神の建て替えに取り組みました。
隣接する阪急百貨店うめだ本店とは、元から違いがあります。阪急は「非日常」で刺激を提案しています。阪神はもっと人なつっこくて庶民的で、日常生活に沿った提案をしていました。新たな阪神梅田本店では、その「日常」の豊かさを強力に打ち出し、提案していかないといけないと思っています。
背景には、消費の仕方、生活の仕方が新しくなっていることが挙げられます。買うものは中古品でも構わないし、自分らしく生きたいという考えが広がっています。
以前は人より収入を増やしたい、偉くなりたいという考えが主流でしたが、自分が満足したらいいというライフスタイルに変わっています。食を中心に、日常生活の豊かさとは何かを考えていますが、禅問答のような問いです。
梅田本店の初年度の売上高は前年度から減る(約26%減)と予想していますが、これは2021年に今の倍の面積に戻ってグランドオープンするまでにチャレンジングな店づくり、品ぞろえを続けるということを踏まえてのものです。
この2、3年は、将来伸びるための準備期間と位置づけ、挑戦を続けていきます。(聞き手・久保田侑暉)