集配委託業者が関与した架空請求詐欺事件の構図
郵便局から業務委託を受けた都内の集配業者が、架空請求詐欺事件で「ゆうパック」で送られた現金の回収役をしたとして、愛知県警は27日、集配業者3人を詐欺容疑で逮捕した。業者は配達前に現金入りのゆうパックを回収する一方、配達伝票にサインを記入して郵便局へ提出していた。県警は、現金を配達先で受け取る際に摘発されないための新手口とみて、警戒を強めている。
発表によると、詐欺容疑で再逮捕されたのは、東京都府中市の運送業者「グロウス27」の実質経営者、浅倉知英容疑者(47)=府中市=と、同社社員の伊藤響(ひびき)容疑者(45)=同小平市。新たに詐欺容疑で逮捕されたのは、元社員の佐藤充容疑者(32)=同東久留米市。県警は、いずれの容疑者の認否も明らかにしていない。
同社は、武蔵府中郵便局(府中市)から荷物の集配業務を委託されていた。県警は、3人がほかにも十数件、同様の詐欺事件に関与した疑いがあり、被害総額は5千万円以上にのぼるとみている。
捜査2課によると、3人は他の仲間と共謀して5月28日ごろ、静岡県の70代の女性に、弁護士になりすまして電話をかけ、現金をゆうパックで府中市の集合住宅へ送るよう指示。同30日に送られてきた現金600万円を詐取した疑いがある。指定した住所は、浅倉容疑者らの会社が集配を担当する地域だった。
5月末ごろ、名古屋市の女性が同様の方法で現金を要求される被害があり、愛知県警が「だまされたふり作戦」で捜査。現金の送り先に荷物が届かないのに、郵便局の記録が「配達済み」となったため、業者の関与が浮上したという。
日本郵便によると、同社とは2013年4月に委託契約していた。外部委託では、事前に営業実態などを審査し、委託後も代表者と定期的に面談などをしているという。担当者は「お客様の信頼を損ない、誠に遺憾。業者については既に契約を解除した」としている。(井上昇、田中恭太、松本龍三郎)