喜ぶ韓国の朱世種(手前)と頭を抱えてピッチを去るドイツの選手たち=AP
サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会は1次リーグの全日程が28日に終わり、16強が出そろった。優勝候補の前回王者ドイツ(世界ランク1位)が、F組最下位に沈み、まさかの1次リーグ敗退。3大会連続で、前回大会優勝国が決勝トーナメントを逃した。
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ドイツは初戦でメキシコ(同15位)に0―1で敗れた。第3戦は後半追加時間に韓国(同57位)に2点を奪われ、W杯ではアジア勢に初めて黒星を喫した。2002年日韓大会から4大会連続で4強以上に駒を進めていたドイツの敗退に、世界中が驚いた。
前回の14年ブラジル大会では1勝も挙げられなかったアジア勢の健闘が光った。日本(同61位)は初戦のコロンビア(同16位)戦で白星を挙げ、第2戦のセネガル(同27位)戦は2度のビハインドを追いついた。ポーランド(同8位)戦は、西野監督が「心情としては不本意」と言いながらも、他会場の経過、警告・退場数に基づくフェアプレーポイントなど1次リーグ突破条件を冷静に見極めて、自ら負けを選択する賭けに出た。そして、アジア勢で唯一、1次リーグを突破した。3大会ぶり出場のサウジアラビア(同67位)はエジプト(同45位)を下し、24年ぶりのW杯勝利を挙げ、イラン(同37位)はモロッコ(41位)に競り勝って、20年ぶりの白星をつかんだ。
アフリカ勢はチュニジア(同21位)が40年ぶりの勝利を挙げたが、出場全5チームが1次リーグで散った。アフリカ勢が1次リーグで姿を消すのは1982年スペイン大会以来、36年ぶりだ。
欧州勢は好調。出場14チーム中10チームが決勝トーナメントに駒を進めた。出場国のなかで世界ランクが最も低い開催国のロシア(同70位)は2位通過。ベルギー(同3位)とクロアチア(同20位)は3戦全勝で16強入り。イングランドのFWケーンは1次リーグ最多の5得点を決めた。南米勢はアルゼンチン(同5位)がクロアチアに0―3で敗れたり、優勝候補の一角ブラジル(同2位)がスイス(同6位)と引き分けたり、序盤は苦戦したが、尻上がりに調子を上げて順当に1次リーグを突破した。
今大会から採用されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)制度の影響もあり、PKが増加。すでに1大会のPK数は史上最多を更新した。開幕から36試合連続で得点が生まれ、スコアレスドローは37試合目のフランス―デンマークだけだった。(大西史恭)