毎日お昼になるとスケート場に来てフィギアスケートをしている姫凱峰さん(75)は、報道されて人気者になってからは、以前のように「姫おじいさん」ではなく、「ローレンス」と呼ばれるようになった。それでも、当の本人は「ローレンスって誰か知らないし、外国語の名前で呼ばれるのは好きじゃない。『姫おじいさん』でいいよ」と話す。中国新聞社が報じた。
姫さんはこれまで21年間、雨の日も風の日も、毎日正午になると、スケート場に顔を見せる。姫さんは以前、北京市の南郊外にある大興区に住んでおり、スケート場まで車で往復3時間も要していたが、その習慣が途切れたことは一度もなかった。
数ヶ月前、メディアの目に留まり、ネット上で報道されると、姫さんはスケート場の人気者となった。そして、メディアがひっきりなしに取材に訪れるようになった。スケートに集中できなくなるのは嬉しくないことではあるものの、それでも姫さんはこれまで通り、お昼になると白のTシャツにグレーのズボンというお決まりの「ユニフォーム」に、重みのあるスケート靴を入れた紺色のボストンバッグを抱えて、スケート場に登場する。
「ずっと一人で来ており、友達もあまりいない。でも、リンクの上に立つと、『自分の庭』に来た気分になる」と姫さん。スケート場のスタッフで姫さんを知らない人はいない。21年間、スケート場のスタッフはずっと入れ代わり立ち代わりを繰り返してきたが、姫さんは、まるで常緑樹のように、このリンクに立ち続けている。
実際のところ、姫さんのスケートが特別素晴らしいというわけではない。8歳の時から、スピードスケートを学び始めたが、年を取ってからは、スピードを追求する体力がなくなったため、フィギュアスケートの練習をするようになった。
姫さんは難易度の高い滑りをできないことなど全く気にしていない。姫さんにとって、スケートは運動するための方法に過ぎないからだ。ヘッドホンを装着すると、姫さんは自分の世界に浸り、それを楽しみ、思う存分満足することができるのだという。
報道を見て、たくさんの人が姫さんを一目見ようとスケート場にやってくるようになった。