試合前の練習でバットを手にする大谷龍太=東京ドーム
大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(24)の兄で、トヨタ自動車東日本(岩手県金ケ崎町)に所属する大谷龍太(30)が17日、社会人日本一を争う都市対抗野球(東京ドーム)に初出場。チームは1―12で七回コールド負けしたものの、龍太はコーチ兼外野手として、若手選手らを導きながら、自身も1安打を含め2度出塁し、存在感を示した。
チームは創部7年目の今年、都市対抗の2次予選東北大会で初優勝を果たし、初の全国大会出場にこぎつけた。創部時から主力として活躍してきたのが龍太だ。
弟と7学年違いの龍太は、社会人野球の元選手だった父の徹さんの影響で小学4年で野球を始め、岩手県立前沢高を卒業後、クラブチームを経て、四国アイランドリーグの高知で2年間プレーした。193センチの弟の身長には及ばないものの、187センチあり、引き締まった体格も似ている。
2012年春、野球部を創設したトヨタ自動車東日本に誘われて帰郷。地元の岩手県出身者を中心に13人でスタートした当初から、選手とコーチの一人二役でチームを引っ張ってきた。
初戦の相手は、40回目の出場で8度目の優勝を狙う東芝(川崎市)。龍太は1番・左翼で先発。三回の第2打席に全国大会での初安打となる右前安打を放ち、六回の第3打席も死球で出塁したが生還はかなわなかった。チームの得点は一回の1点にとどまり、相手には14安打で12点を奪われた。
試合後、報道陣に感想を問われると「相手が強豪というのはわかっていましたが、もっとできたんじゃないかと思う。すごい声援の中で、緊張しないようにと思っても力が入ってしまった」と悔しさをにじませた。
弟の翔平からは開幕前、LINEで「頑張って」と激励を受けたそう。弟が何度もスタンドを沸かせてきた東京ドームでこの日初めてプレーし、「プロの人たちがこういうところでやっているのはすごいな、と。僕も1試合でも多くやりたかったですが、東京ドームに必ずまた帰ってこられるように、レベルアップしていきたい。チームを引っ張っていきたい」と話した。(杉山圭子)