ガバナンス強化のための一般社団法人を立ち上げた東大アメリカンフットボール部(同部提供)
東大アメリカンフットボール部が、部の活動を支援する一般社団法人を立ち上げた。チーム環境の整備やガバナンス強化が狙い。2016年に京大アメフト部が同法人を設立しており、それに次ぐ動きだ。大学スポーツ改革の必要性が叫ばれる中、他の大学の部活動でも同様の取り組みが進められている。
2日に東京都内で開かれた一般社団法人「東大ウォリアーズクラブ」の設立記念パーティー。三沢英生監督は「適切なガバナンスはチームがよくなる大前提。法人設立によって、人事や会計など全部のガバナンスが効いてくる」とあいさつ。森清之ヘッドコーチは「常に優勝争いするチーム力をつけていきたい」と意気込みを語った。
1957年創部の東大アメフト部は現在、関東大学リーグ1部の「TOP8」の下にあたる「BIG8」に所属。昨季は4勝3敗で8チーム中4位だった。今年の4年生は高校までの競技経験者が23人中2人。スポーツ推薦制度がなく、他校に比べて人材確保が難しい中、TOP8昇格、そして大学日本一を決める甲子園ボウル出場を目指す。
法人の代表理事に就任したOBの好本一郎氏(65)は、支援システムの好循環を期待する。
これまでの部の運営費は年間約1億円。OB会費や部費が主な収入だったが、法人設立によって資金の使途を明確にして、信用性を高める。それによって、約1千人いる卒業生の個人寄付や企業の協賛金などの増加を見込む。資金が増えれば、よりよい指導者の雇用や選手のスカウト活動を充実できる。それが、強化に直結するという流れだ。
好本氏は「不祥事が起これば、部の信用は一日で崩壊する。ガバナンス強化によってリスク管理をしていきたい」と話す。また、資金獲得では先行事例である京大にならい、東大の卒業生が少ないベンチャー企業などとの連携も模索するという。
日大アメフト部の悪質タックル問題などによって大学スポーツの変革が議論される中、今月後半には慶大ラグビー部が同法人設立の記者会見を開くなど、同じような動きが他大学や他競技にも広がりそうだ。来春にも競技横断組織「日本版NCAA」の設立を目指すスポーツ庁の幹部はこうした流れに賛意を示しつつ、「一つの部活だけでなく、異なる競技の部活などと横の連係が出てくれば」と更なる広がりを期待する。(野村周平)