182日間にわたって開かれた通常国会が22日に閉会した。森友・加計(かけ)学園問題の事実解明に向けた与野党の議論は十分だったのか。国会運営は今後どうあるべきか。担当記者が話し合った。
通常国会の論戦、タイムラインで
〈記者座談会の出席者〉笹川翔平(自民党国会対策委員長担当)、別宮潤一(立憲民主党国対委員長担当)、久永隆一(参院自民党担当)、河合達郎(参院野党担当)、斉藤太郎(国会担当)。司会は国会担当キャップ・東岡徹
――森友・加計問題が焦点だった。
笹川 朝日新聞が決裁文書の改ざんを最初に報じた3月2日から数日間は「こんなことが本当にあるだろうか?」という雰囲気が与党内を占めていた。それぐらい「あり得ない」話だった。
――与党の対応はどうだったか。
久永 与党も野党もなく、すべての国会議員がだまされていた。それなのに、与党議員は切り込もうとしない。与党は政府を支えることも大事なのは分かる。しかし、支えると、かばうは違う。
笹川 行政府が国会にウソをつき続けていたという深刻な事態だ。与党は首相の側近議員らが公文書管理についてのプロジェクトチームをつくり、再発防止策をまとめて首相官邸に提言したが、「公文書管理」というテーマに焦点をずらし、財務省がなぜそんなことをしたのかという原因を探る議論には立ち入らないようにしていた。
――野党はどうだろう。
斉藤 森友・加計問題の追及で気を吐いた野党は共産党だった。独自に文書を入手して政府を攻め立てた。それ以外の野党はメディアの報道に頼りがちだった。官僚の中立性を保ち「忖度(そんたく)政治」をまんえんさせないためにも、役所からの「通報」の窓口になれるような野党議員たちが必要だった。
別宮 質問力が必要だ。5月28日の参院予算委員会の集中審議では、直前に森友学園をめぐる財務省の約1千ページの新文書が出ていたのに抽象的な質問を繰り返した国民民主党の幹部もいた。今後も森友・加計学園の問題がまだ終わっていないと示すべきだ。
河合 相次ぐ疑惑や不祥事に対し、立法府で多数を握る与党が内閣を擁護する姿勢が目立った。与党の姿勢に対し、野党がブレーキをかけられなかったのは、与党にとって今の野党では「政権を取って代わられるかもしれない」という恐怖感がないからだろう。
■延長国会、国民不在の自民・参…