森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題について、政府が第三者による調査をしようとしない姿勢を鮮明にしている。内閣府は公文書管理法に基づく調査権を持っているのに行使せず、他の省では例のある「第三者委員会」も設けない。なぜ改ざんが組織内でまかり通ったのかなど、客観的な目による真相究明を放棄したまま、同省は「コンプライアンス」(社会規範の順守)の推進に取り組むというのだが……。(編集委員・奥山俊宏)
「それが分かりゃ苦労せんのですよ。それが分からんから、みんな苦労してるんです」
決裁文書改ざんについて3カ月にわたる内部調査の結果を発表した6月4日の記者会見で、「なぜ答弁の訂正ではなく、文書改ざんの必要があったのか」と問われた麻生太郎財務相はこう答えた。調査責任者の矢野康治(こうじ)官房長も「今から思えば、『なんでそんなことをしたんだよ』という部分が疑問として残る」と語った。
改ざんの理由だけではない。改ざんを止められなかった理由も財務省の調査からは分からないままだ。
どんな組織にも不正がありうる…