東京・用賀の住宅街の一角、木造アパートの一室でミラーボールが妖しく光る。
築約50年のこの部屋で、高橋真一さん(69)は23年にわたって、ミラーボールの製造・修理を手がけてきた。都内ではおそらく唯一の職人だ。高橋さんによると、国内の製造会社も大阪に1社あるだけだという。照明関係の会社で働いた後、1995年に独立。以来、世に送り出した数は約3千個にのぼる。
ミラーボールは、アルミ製の半球を貼り合わせ、中に回転させるためのモーターを入れる。表面にはサイズが微妙に異なる鏡を貼り付け、隙間を石膏(せっこう)で埋めている。全て丁寧な手仕事だ。
近年は新規の注文も減り、修理の依頼がほとんどだという。
それでも、「お店できちんと動いている様子を想像して、やる気を出しています」と笑顔をみせる。実は、ディスコやキャバレーにはほとんど行ったことがない。(写真・文諫山卓弥)