自民、公明の与党は3日、森友学園問題をめぐる証人喚問で虚偽の証言をしたとして財務省の佐川宣寿・元理財局長を偽証罪で告発するよう求めていた野党に対し、賛同できないとの考えを伝えた。告発には出席議員の3分の2以上の賛成が必要なため、告発は実現しないことになった。
佐川氏の偽証罪告発、自公応じない構え 中間報告
佐川氏の証人喚問は3月27日に衆参両院の予算委員会で行われた。野党は佐川氏の証言と、財務省がその後に公表した森友学園との交渉記録や公文書改ざんに関する調査報告書を検証。森友問題について「昨年2月上旬の新聞報道で知った」とした発言など衆院で5カ所、参院で4カ所の偽証があったとして、議院証言法に基づく偽証罪の告発に賛同するよう、与党に求めていた。
衆院予算委の与党筆頭理事の菅原一秀氏(自民党)は3日、野党筆頭理事の逢坂誠二氏(立憲民主党)と国会内で会談。記憶に忠実である限り、客観的に誤っていたとしても虚偽の陳述に当たらないと指摘した。野党側の主張は財務省の報告書で認定された事実に推論を重ねており、私人の告発にも慎重であるべきだなどとして、告発には賛同できないと結論づけた。
これに対し、逢坂氏は「『記憶の限り』という枕ことばを付ければ、あらゆることが偽証にならなくなり、国会の議論は成り立たない」と反発。国会閉会中の予算委開催や佐川氏らに対し改めて証人喚問を実施するよう求めた。こうした要求に対し、菅原氏からは返答はなかったという。
逢坂氏は会談後、「(与党が)告発に乗らない理由が理解できない」と記者団に語り、今後の対応について他の野党と改めて協議する考えを示した。(別宮潤一、斉藤太郎)
野党が偽証の疑いを指摘する佐川氏の主な証言
●「(森友問題を)昨年2月上旬の新聞報道で知った」
・偽証と指摘する理由:財務省調査報告書によると、報道前に同省理財局の国有財産審理室から説明を受けていた
●「(安倍晋三首相の妻・昭恵氏が森友学園の名誉校長であると)報道で知った」
・理由:財務省が開示した交渉記録によると、昭恵氏が名誉校長だと認識していた省内のメモが既にあり、国有財産審理室がその事実を佐川氏に報告しないはずがない
●「総理や総理夫人の影響があったとは全く考えておりません」
・理由:報告書によると、決裁文書について佐川氏が「必要な書き換えは行う必要がある」と証言し、昭恵氏の記述も削除されている
●「(理財局が籠池泰典氏に『身を隠してください』と連絡したことについて)私自身、全くそういうことはしておりません」
・理由:報告書によると、理財局内で佐川氏以下で議論した結果、同局職員に対して、森友学園の対外的な説明を顧問弁護士に一元化するよう指示し、学園側に籠池氏が不在であると説明するように職員に提案させた