(21日、アジア大会第4日)
「目立ちたがり屋」が最高の舞台で輝いた。ジャカルタ・アジア大会レスリング男子グレコローマン60キロ級の太田忍が、キルギス選手を破り金メダル。フォール勝ちを決め、胸の日の丸を観客席にこれでもかと見せつけた。
自分の出番まで、日本は男女通じて金メダルがゼロだった。「『日本が衰退している』と思われる。緊張でガチガチになった」と24歳。序盤にリードを許したが、得意のがぶり返しで逆転。第2ピリオド、疲れが見えた相手に素早い胴タックルをかまして勝負を決めた。
2016年のリオデジャネイロ五輪59キロ級銀メダリスト。一躍スポットライトを浴びたが、翌年には日体大の後輩、文田健一郎が日本男子として34年ぶりに世界選手権優勝。主役の座を取って代わられた。
けがの文田が不在の中、アジアを制した。「健一郎が戻ってきたら、また自分も伸びる」。身近なライバルの存在を刺激にしながら、次こそは秋の世界選手権で頂点を目指す。(金子智彦)