自民党総裁選に立候補する石破茂・元幹事長が安倍晋三首相に批判的な発言をしていることに、石破氏支持に回った竹下派の参院議員から牽制(けんせい)する声が上がっている。首相との対立が深まり、総裁選後もしこりが残ることで、来年の統一地方選や参院選への影響が出ることを懸念するためだ。
政治系ニュース
石破氏は10日の出馬会見で、森友・加計(かけ)学園問題をめぐる安倍政権の対応などを念頭に、「正直、公正」な政治姿勢を強調。12日のテレビ番組では、「政府は正直にものを言っているか、証拠を書き換えたりしていないか、すべての人に公正か、はっきり言えば、えこひいきがないかということだ」と説明した。
これに対し、参院の竹下派を率いる吉田博美・参院幹事長は21日の記者会見で「個人的なことで攻撃していくのは非常に嫌悪感がある」と指摘した。
吉田氏はもともと石破氏との交流は乏しく、安倍首相に近い。しかし、今回は、政治の師と仰ぐ青木幹雄・元参院議員会長の要請に加え、竹下派会長の竹下亘・党総務会長が石破氏支持の考えを示したことで石破氏支持に回った。総裁選では政策論争を挑むべきだとの考えで、首相との対決姿勢を強める石破派とは温度差がある。
さらに吉田氏ら参院議員の視線の先には、来年の統一地方選や参院選がある。ある参院幹部は安倍首相の3選を前提に、「石破さんが首相のイメージを悪くする作戦を続ければ、安倍さんで戦う参院選は厳しい結果になりかねない」と懸念する。
石破派の所属議員の一人は「『正直、公正』はちょっと響きが強すぎた面はあるが、(首相への)個人攻撃ではない」と語るが、竹下派の参院幹部は石破氏に首相批判路線の修正を求める考えを示している。(久永隆一)