ジャカルタで開かれているアジア大会で22日夜、フェンシングの男子エペ団体で日本が決勝で中国を破り、史上初の金メダルに輝いた。10年広州(中国)の銅、14年仁川(韓国)の銀と一歩ずつステップを上がり、2年後の東京五輪に向けて希望が膨らむ快挙だ。
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決勝は、世界ランキング1位の韓国を準決勝で破った中国との対決となった。17―14と日本がリードして迎えた最終9巡目、日本は19日の個人戦で銅メダルを獲得した加納虹輝(こうき、早大)が冷静に相手の反撃をかわし、30―22と突き放した。
リオデジャネイロ五輪の個人戦6位入賞のエース格、見延和靖(ネクサス)を1巡目のみで下げ、絶好調の最年少の20歳で締めるゴルバチュク監督の起用法が的中した。見延は「誰か一人の力で取ったのではない。ここにいる4人に加え、お盆休み返上で練習に付き合ってくれた仲間と皆で勝ち取った金メダル。何倍もの重み」と厚みを増しているチーム力を誇った。
3年前の11月、見延が宇山賢(三菱電機)との日本人同士の決勝を制してこの種目の日本人W杯初優勝を飾り、エペ陣は上昇気流に乗った。今回のメンバーは31歳の見延、26歳の宇山、24歳の元世界ジュニア王者、山田優(自衛隊)に、今季急成長の加納と年齢構成的にもバランスが良い。
フルーレ、サーブルを含めた3種目の中、日本では太田雄貴(現日本フェンシング協会会長)が五輪でメダルを獲得したフルーレに関心が集まりがち。しかし、本場・欧州で人気が高く、世界的にも競技人口が多いのがエペだ。見延の口癖は「日本ではマイナー、世界ではメジャーのエペ」。突けば得点となる「有効面」が胴体部分のフルーレに対し、エペは全身。しかも、フルーレは攻撃権を持つ方が相手を突いた場合しか得点にならないが、エペは突けば得点となり、同時でも両方にポイントが入る。単純明快で素人の観戦者にもわかりやすい。太田会長も常々、「競技人口を増やすには、エペの普及がカギ」と公言している。
見延は「今大会が東京五輪前の大きな指標になると思っていた。ますます、東京五輪では金メダルしか取れない気がしてきました」と、自信満々だ。(稲垣康介)