自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)に立候補する石破茂・元幹事長の選挙対策本部長に、竹下派の尾辻秀久・元参院副議長が就任する見通しとなった。参院当選5回の大ベテランで、2015年総裁選では立候補を模索した野田聖子総務相の支援者だった。石破陣営は野田氏に秋波を送るねらいもある。
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総裁選では、党内7派閥のうち5派閥が安倍晋三首相を支持する一方、竹下派では、青木幹雄・元参院議員会長の要請を受けた参院側が石破氏を支持する。石破氏は21日、東京都内の尾辻氏の事務所を訪ね、選対本部長への就任を直接打診。尾辻氏はその後、参院竹下派を率いる吉田博美・参院幹事長と協議し、受け入れる方針を決めた。
石破氏は、国会議員票で首相に差をつけられており、厚生労働相や党参院議員会長などを歴任した重鎮の起用を、起死回生の糸口にしたい考え。参院竹下派側にも、石破氏の首相批判路線に懸念の声がくすぶっており、石破派中心の選対に重鎮が入ることで、影響力を確保する思惑がある。
一方で、尾辻氏は首相が無投票再選した15年9月の総裁選時、立候補を目指していた野田氏の支持を公言。最終的に野田氏が立候補を取りやめる記者会見をした際には、国会議員として唯一立ち会った。
野田氏は今回も出馬に意欲を示しているものの、立候補に必要な20人の推薦人を確保する見通しが立っておらず、首相と石破氏の一騎打ちとなる見通し。こうした中、石破氏側には、尾辻氏を選対本部長に迎えることで、野田氏からの支援にもつなげるねらいがある。
石破氏は最近のテレビ番組などで、「野田さんは人間的に信頼もしているし、女性ということで我々にない視点を持った方だ」と評価。野田氏も周辺に、「石破さんの本を読んだけど、安全保障のところを除けば、ほとんど考え方は同じ」と話している。(南彰)