(25日、大リーグ・アストロズ8―3エンゼルス)
大谷翔平にだって、苦手な投手はいる。アストロズのエース、通算200勝を達成したバーランダーは、その1人だ。過去に2度対戦し、7打数1安打3三振。回転数が多い、伸びのあるストレートは「野球をやってきて、一番速い」と感じ、「品のある球」と独特の表現をするほど、ほれ込んでいる。
ただ、同じ相手に何度もやられるわけにはいかない。25日(日本時間26日)、4番・指名打者でアストロズ戦に出場した大谷は、成長の跡を見せつけた。第1打席の二回は、直球が二つ続いた後のチェンジアップに泳がされながらも、右翼線へ運び二塁打。そして四回無死一塁では、初球に来たチェンジアップを、またとらえた。
「打っていた球なので、頭の中にはなかったけど、何とか食らいついていけた」。今度はタイミングを崩されることなく、左中間へ今季14本目のアーチをかけた。「素晴らしい投手なので、何度対戦しても打つのは難しいレベルだと思うけど、1回目より2回目、2回目より3回目のほうが、いいタイミングで入れたんじゃないかなと思う」
この試合では、大リーグならではの経験もした。八回、アストロズの3番手の投手から、お尻の上部に死球を当てられた。アストロズの主力打者、アルトゥーベが七回に死球を受けていた。やられたら、やり返すのが大リーグ。仕返しだったのは明らかで、エンゼルスの主力打者と認められている証しでもある。
大谷の死球の後、球審は双方のベンチへ警告試合を宣告した。にもかかわらず、九回はエンゼルスの投手がまた死球を与え、退場になる一幕もあった。試合後、当然死球の質問が報道陣から出た。大谷は言う。「僕も投手をやっていれば、当ててしまうことはあります」。遺恨を残さないよう、さらりとかわした。(アナハイム=山下弘展)