「『国がやっと動いてくれたよ』って娘に報告したい。少しは供養になると思います」。北九州市の非常勤職員だった一人娘の森下佳奈さん(当時27)を亡くした母親の眞由美さん(56)は取材にそう話した。
非常勤の労災請求、認定の仕組みを 総務省が全国に要請
2012年から同市の区役所で子ども・家庭問題の相談員をしていた佳奈さんは、在職中にうつ病を発症。退職後の15年春に自ら命を絶った。眞由美さんら両親は、過重な業務負担や上司の執拗(しつよう)な叱責(しっせき)が原因だとして、市側に労災請求の手続きを尋ねたが、市は条例上、非常勤職員や遺族には請求権がないなどと回答。「門前払い」にされた。
両親は昨年8月、遺族への補償や損害賠償を市に求めて福岡地裁へ提訴。今年7月初めには、眞由美さんが野田聖子総務相に手紙を出し、「この問題をどうか大臣も知って下さい」と訴えた。
「困難を抱えた子どもたちの助けに」という夢をもって就職した佳奈さんが数カ月で元気を失い、追い詰められていった過程や、死後も労災請求すら許されなかった事情をつづった。
テレビで野田氏が「女性活躍」について語っているのを見て、「『活躍』の手前で倒れ、没後も人間らしい扱いをされなかった娘の無念をわかってくれるのでは」と思ったからだった。
返事は期待していなかったが、7月19日に手書きの封書が野田氏から届いた。
便箋(びんせん)には「心痛は…