2015年の日韓慰安婦合意に基づき、韓国の元慰安婦の支援活動を行ってきた「和解・癒やし財団」に解散を求める圧力が韓国で増している。文在寅(ムンジェイン)政権は日韓関係の悪化を避けるため、財団を維持してきたが、元慰安婦支援団体は解体を要求。文政権を支える国会議員も賛同している。
「財団の即時解散を」。 3日朝、ソウルの外交省前で元慰安婦の金福童(キムボクトン)さん(92)が車いすに乗って「1人デモ」を始めると、韓国メディアの関係者ら約40人が取り囲んだ。韓国で生存する元慰安婦は28人で、金さんは「日本政府の心のこもった謝罪と賠償」を求めて財団の現金支給事業を拒否した一人。「安倍(首相)が一言、過ちを犯し申し訳ないと言えば、許せる」と語った。
「1人デモ」は元慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(旧挺対協〈ていたいきょう〉)が引き継ぎ、当面毎日続ける。与党「共に民主党」を中心に与野党の国会議員約80人が賛同しているという。
韓国政府関係者によると、財団は7月に事務所を半分に縮小し、残務処理のみを行っている。それでも元慰安婦支援団体が「解体」にこだわるのは、財団がなくなれば日韓合意は事実上破棄したことになると考えているからだ。「合意の履行」を日韓関係の基礎と位置づける日本政府は、財団の解体は絶対に受け入れられないとの立場だ。(ソウル=武田肇)