ジョージア州の共和党予備選で流れたケーグル州副知事のテレビCMの一場面。中米出身者のギャングの脅威を示し、自らの「全米で最も厳しい一斉検挙」の姿勢をアピールした
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11月6日の米中間選挙では、上下院や州知事の候補者をみると、米社会で変わりゆく人種構成への共和党と民主党の対応ぶりで、2大政党の違いが色濃く出ている。共和党は白人候補者が依然として圧倒的に優勢である一方、民主党は黒人やヒスパニックなどマイノリティー(少数派)の候補者が増えて多様化がより鮮明になっている。
南部ジョージア州の知事選は、共和党と民主党で対照的な争いになった。
テレビCMが流れる。
緑の芝生で突然、爆発が起きた。男性がライフルを構え、「誰も(私の銃を)奪うことはできない」。銀色の大型ピックアップトラックに乗り込み、「トラックを入手した。不法滞在の犯罪人を送り返す」。
ジョージア州の共和党予備選を勝ち抜き、11月の知事選に臨むブライアン・ケンプ州務長官のテレビCM。不法滞在の犯罪人を一斉検挙し、出身国に送り返すピックアップトラックをアピールした
そして、誇らしげに言い切る。「あなたが政治的に正しくない保守派を求めているなら、それは私だ」
共和党の知事候補で州務長官のブライアン・ケンプ氏(55)は、あえて公正中立な言葉遣い「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)」に縛られない姿勢を強調している。
別のCMでは「私は『メリークリスマス』とも『神のご加護を』とも言う。トランプ大統領と軍、鉄壁の国境を強く支持する」とアピール。米国でクリスマスの時期にキリスト教徒以外に配慮して「ハッピーホリデー」という言い方が広まっていることに、地方の保守層では反発が根強いことを意識したメッセージだ。
同州で共和党は、過去6回の大統領選で全勝。知事選も2002年以来、連勝している。7月の予備選でケンプ氏が勝利した際も、トランプ氏は「おめでとう。次は、国境を開いて犯罪を愛する民主党候補をやっつけろ」とツイッターで祝福した。米ギャラップ社の調査では、共和党支持層の9割近くが、トランプ氏の仕事ぶりを評価する。
8月26日の会合で、ケンプ氏は「ジョージアが、メキシコの麻薬カルテルの流通拠点になっている」「7万人以上のギャングがいる」と訴えのボルテージをさらに上げた。民主党を「弱腰」と批判、「我々が対処する」と訴えた。
ほかの共和党候補も負けていなかった。
州副知事ケーグル氏は、トラン…