国立感染症研究所は4日、直近1週間(8月20~26日)の風疹の患者数を発表した。前週の約2倍の84人に上った。流行の兆しがある関東以外でも患者が出始め、新たに3県から感染報告があった。
感染研によると、今年に入ってからの患者数は273人。昨年1年間の約3倍に上る。累計患者数は千葉84人や東京72人、神奈川24人など関東地方が多い。新たに山形や栃木、和歌山でも患者が出て、今年に入って感染報告があった自治体は27都道府県に上った。感染経路は不明だが、夏休みで都市部と地方で人の行き来が増え、感染が広がったとみられる。
風疹はウイルス性の感染症で、くしゃみやせきなどのしぶきでうつる。潜伏期間は2~3週間。発疹がでる1週間前から、人に感染する。症状が軽い場合は患者本人も風疹と気付かないまま、感染を広げてしまうことが少なくない。
妊娠初期の妊婦が感染すると、赤ちゃんに障害が出る恐れがある。1万6千人超の患者が出た2012~13年の流行では、45人の赤ちゃんに障害が出て、うち11人が亡くなった。
感染症に詳しい、岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「赤ちゃんの命と健康のためにも、妊娠前の女性や、妊婦の夫、職場の同僚といった人は、ワクチンの接種を検討してほしい」と話す。(水戸部六美)