(11日、プロ野球 ヤクルト4―1巨人)
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打点でリーグトップに立ちながら悩んできた助っ人が、息を吹き返した。ヤクルトのバレンティンだ。八回、捕逸で勝ち越し、なおも1死三塁。2番手アダメスの内角球を力で中前へ。「小川が頑張っていたので、何とかつなごうと」
巨人先発のメルセデスに対し、六回に突破口を開いたのも、この男。それまでタイミングが合っていなかったが、甘い変化球をとらえる。中堅フェンスにぶつけ、同点に追いついた。
この左の剛腕から通算19イニング目に奪ったチーム初得点。バレンティンにしてみれば今月2日以来、7試合ぶりの打点だ。「自分を見失っていたが良いスイングをすることを考えた」
陽気な振る舞いとは裏腹に、秋が近づいてから悩んできた。先月26日にプロ野球史上3番目の早さで250号本塁打を放ったあと、当たりがストップ。一時は打撃2冠も視野に入っていたが、本塁打は広島の丸に抜かれた。
にもかかわらず、石井打撃コーチは「技術的には問題ない。あいつは、こっちだから」と、胸を2回たたいて続けた。「(女子テニスの)大坂なおみ選手と一緒。『我慢、我慢』と伝えてきた。それだけ」。集中力さえ保てれば、調子は上向くというわけだ。
この日の2安打だけで復調したかはまだ、分からない。それでも、主軸の輝きと、小川の対巨人7連勝となる好投もあって、チームは2位を死守した。(笠井正基)