プーチン大統領による前提条件なしの平和条約締結提案について、安倍晋三首相が自民党総裁選の討論会で前向きな受け止めを繰り返し、次回の首脳会談での交渉の進展までにじませた。だが、日本の基本方針に反する提案だけに、政府内には交渉の行方を悲観する声があり、首相の前傾姿勢が目立っている。
「あなたとは結構違う考え方持っている人が多いんですよ」。14日の日本記者クラブ主催の討論会。安倍首相は、朝日新聞の坪井ゆづる論説委員から「日本政府の考え方をプーチンさんは理解していなかったのか。22回お会いになって共通認識すらなかったのかと驚いた」と質問されると、こう言って反論を始めた。
首相は1955年以来の当時のソ連との交渉に触れて、「私はずっと会談記録、秘密交渉の部分も読んできた。そのうえにおいて(プーチン氏と)会談を行ってきた」と強調。具体的な交渉内容は明かさなかったが、「プーチン氏の言葉からサインを受け取らなければならない」と述べ、今回の提案がこれまでの交渉を「ちゃぶ台返し」するような発言ととらえるのではなく、領土交渉への前向きな手応えとして受け止めているかのような印象を残した。
日本が56年にソ連との国交を…