41歳の「新井さん」が放った2年ぶりの三塁打に、引退表明後初めて上がったお立ち台に、雨のマツダスタジアムが沸いた。
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21日にあったプロ野球広島―阪神戦。広島が1点リードの八回1死二塁、新井が141キロの球を鋭いライナーで右翼へ運んだ。阪神の右翼・糸井が飛び込んだが、及ばず。打球が転々とする間に、新井は歯をくいしばって二塁を蹴り、手をたたきながら三塁に到達した。2016年6月24日以来、プロ20年目で22本目の三塁打に、「足がもつれた」。
応援するには厳しい環境だった。この日も、前日も雨に悩まされた。前夜は1時間9分遅れで試合が開始。その上、二回が終わった時点で1時間以上の中断を挟み、三回が始まった時には午後9時をまわっていた。試合終了は午前0時3分で、子ども連れを含め、ファンの多くは試合途中に引き揚げざるをえなかった。
この日も時折激しい雨が降った。2度の中断を挟むなか、赤いポンチョ姿で懸命に声援を送っていた。
そんな試合で飛び出した新井の一打。さらにもう一幕あった。5日に今季限りでの引退を表明して以降、初めてお立ち台に上がったのだ。
新井は、「野間さんが二塁打でチャンスを作ってくれたので、なんとかもう1点欲しいと思って打席に入った。ベンチに戻ったら、野間さんから『よく打った』とほめてもらいました」。お得意の後輩いじりでファンを笑わせた。
そして「ファンの方は昨日も今日も雨の中、遅くまで応援して下さった。ありがとうございます」。
最後は右翼スタンドまで駆け寄ってファンとハイタッチを交わした。(藤田絢子)