人気のない山あい、川の上流にぽつんと小さな発電所が立つ。その写真に添えて、「19500kW」と出力を示す文字。山口県内の水力発電所を紹介する「発電所カード」がじわりと人気を集めている。地味な見た目ながら、レアさと集めるまでのちょっとしたハードルで、コレクターのハートをつかんでいる。
冒頭に紹介したのは新阿武川発電所(同県萩市)のカード。裏には出力や発生電力量に加えて、水車形式(立軸単輪単流渦巻フランシス水車)といったマニアックな情報や、「下流には発電放流を活用したカヌーコースが設けられ、国体でも使われた」といった豆知識が書かれている。
2015年に、県内では23年ぶりの発電所建設となる平瀬発電所(同県岩国市)が着工したことを記念して、県企業局が全国で初めて作った。水力発電のPRがねらいで、国土交通省などが07年から発行している「ダムカード」をヒントに始めた。
建設中の平瀬発電所を含めて13種類あるが、手に入れるのは簡単ではない。それぞれ、現地まで行って発電所の写真を撮影したうえで、発電所やダムの管理事務所といった指定場所で担当者に見せる必要がある。
山奥の細い道を進んでようやくたどり着ける発電所もある。見た目はごく普通の建物なので、外からでは分かりにくい。見つけたときのうれしさも人気の要因になっている。
完成するまでの限定カードとな…