31年ぶりとなる商業捕鯨の再開で、沖合操業船団の母船となる日新丸(8145トン)が6月30日、山口県下関市に入港し、その内部が報道陣に公開された。南極海や北西太平洋での調査捕鯨を担い続けた船。海原を渡りゆく「巨大工場」のような世界を垣間見た。
1987年建造の大型底引き網船を改造し、91年から運用を始めた。商業捕鯨が再開される7月1日は船員を中心に88人が乗船する予定。岸壁で全長130メートルの船体を前にすると、普段見慣れた漁船が小さく見えた。調査捕鯨終了に伴い、黒い船体に白く表示されていた「RESEARCH」の文字も消されていた。
報道陣はまず、長さ30メートルほどの上甲板へ案内され、引き揚げたクジラの体長や体重を量る計測デッキ、解体する解剖デッキを見学。解体時は巨大なまな板となり、船員5人で刃渡り1メートル近くの大包丁を手に作業するという。実施主体の「共同船舶」(東京)の吉村清和さん(44)は「広く見えるけれど、30~40トンあるクジラが揚がると狭くなる」と説明した。
最上部のブリッジでは、「クジラを見つけた時は興奮するのか」と質問が飛んだ。吉村さんは柄の付いた双眼鏡を紹介しながら、「ベテランの船員しか見つけられない。新人は初めて見つけると一生の思い出になる」と話した。
反捕鯨団体による度重なる妨害…