井山裕太名人(29)に張栩(ちょうう)九段(38)が挑戦している第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第3局は26日朝、鹿児島市の「城山ホテル鹿児島」で再開し、2日目に入った。名人は左上の戦いを途中で切り上げて戦線を拡大。右下の白に強攻を仕掛けたが、挑戦者は戦いを避けて無事に治まった。挑戦者の優勢が見えてきた。
名人が強攻手を連発、囲碁名人戦第3局の詳報はこちら
1日目最長考の56分を投じた名人の封じ手は左上黒71。ここから名人の着手は検討陣の予想にない手が続いた。一帯で戦いが続くと思われたが、名人は上辺黒73に転戦。さらに右下の白一子に黒75から襲いかかった。
中央左側の黒の鉄壁を背景に、戦果を挙げようとしたが、挑戦者は捨て石作戦をとって本丸の白を安定させた。
解説の高尾紳路九段は「確定地の多い挑戦者が優勢です。名人は普通の手では苦しいとみて、非常手段で局面を複雑にしようとしていますが、挑戦者は冷静に対応しています」と話した。(大出公二)