外務省が設けた「日韓文化・人的交流推進に向けた有識者会合」が3日、映画やドラマの日韓合作、日韓のプロ野球球団による「アジアリーグ」創設などの提言をまとめ、河野太郎外相に提出した。韓国側が設けた同様の有識者会合も報告書をまとめており、今月下旬にソウルで双方のメンバーが意見交換する予定だ。
有識者会合は、1998年に出された当時の小渕恵三首相と韓国の金大中(キムデジュン)大統領による「日韓パートナーシップ宣言」から20年を迎えるのに合わせ、設けられた。今年8月から3回にわたって議論し、河野氏自ら出席した。
提言では両国民がお互いに信頼を深めることは、政治や経済をめぐる問題を未然に防ぎ、起きたとしても「合理的に処理することを可能にする」とした。「両国には関係改善を好ましく思わない『空気』や『権威』が存在すると言われる」とも指摘。その上で、「相互理解を積み重ねることによって、必ずや乗り越えることができるであろう」と訴えた。
具体策として、映画や音楽、スポーツなどの交流に加え、観光分野での利便性を高めるため、交通系ICカードの相互利用の検討なども盛り込んだ。また、両国の重要な外交文書や首相談話などは相互理解に重要だと指摘。「日韓公文書図書館」といったウェブサイトを設ければ、お互いの誤解を解消することができるとした。
座長を務めた近藤誠一・元文化庁長官は記者団に「外交関係が悪くなると、国民に相手国のマイナス面を強調する面が政治にはある」と指摘。「市民は政治から離れ、相手国の友人を増やすことが大事だ」と語った。(鬼原民幸)
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