ブエノスアイレスで開かれている夏季ユース五輪で7日、フェンシングの女子フルーレ個人で上野優佳(埼玉・星槎国際高)が今大会の日本勢で初の金メダルに輝いた。4月に17歳以下の世界カデ選手権、さらに20歳以下が争う世界ジュニア選手権をともに制した16歳が、「3冠」という偉業を成し遂げた。2年後の東京五輪でさらなる飛躍を予感させる圧巻の強さだった。
順当に勝ち上がった決勝は、世界ジュニア選手権で15―14と大接戦の末に競り勝ったマルティナ・ファバレット(イタリア)との対決だった。1―3と先行されても慌てない。「相手が最初からググッと攻めてくるのはわかっていたので、そこで自分がどれだけ耐えられるかが勝負と思っていた。そこで勝ち切れてよかったです」。勝因については「最後までびびらなかったことだと思います」。
自身、2008年北京、12年ロンドン五輪の女子フルーレ個人で連続で7位入賞の実績がある織田智恵子監督は「冷静に戦況を分析し、試合の中で修正する力がある」と評する。
次の大きな目標は、言うまでもない。「もう、絶対に東京五輪に出て、個人でも団体でも金メダルが取れるように、そこまでレベルを持っていきたいです」。現役のアスリートなら誰でも口にする目標だが、16歳ながら「飛び級」で次々とタイトルを獲得していく上野の言葉だと、現実味を帯びる。
日本の女子フルーレは先のアジア大会(ジャカルタ)で史上初の団体金メダルに輝くなど、若手を中心に層が厚いが、割って入る意気込みを明かした。
「もう先を見ていかないと。東京五輪の金メダルはまだまだ遠いので、ワールドカップなどでジュニア世代だけでなく、シニアでも戦っていける力をつける」
魅力は冷静沈着な剣さばきと内に秘めた闘志。浮かれることなく、さらに先を見据えるのも頼もしい。(ブエノスアイレス=稲垣康介)