韓国のソウル地方警察庁は15日、タイから韓国に覚醒剤112キロを密輸入し、うち22キロを売りさばいたとして、日本と韓国、台湾の密売業者計6人を麻薬類管理法違反などの疑いで逮捕し、残る8人に指名手配などの措置を取ったと発表した。押収した覚醒剤90キロ(時価3千億ウォン=約300億円相当)は、約300万回分の使用量にあたり、韓国当局が押収した量として過去最大という。
同庁などによると、台湾の密売業者が今年7月、バンコク港から釜山港まで覚醒剤112キロを機械の中に隠して密輸し、韓国を訪れた日本人や韓国人らに22キロを売却。日本人らは韓国の業者に11億ウォン(約1億1千万円)で転売し、韓国内に流通させた疑いがあるという。
関係した疑いのある日本人の男2人のうち1人は逮捕されたが、34歳の男は既に韓国を離れて逮捕を免れた。韓国警察当局は、この男と、転売の指示を出していた指定暴力団稲川会系の中堅幹部(58)を指名手配。日本の警察当局と捜査協力を進めているとした。
日韓台の密売業者は捜査から逃れるため、それぞれ別の人間から指示を受けていたという。また、特定の通し番号の紙幣を持った人間と取引するよう指示を受けた業者もいたという。(ソウル=牧野愛博)