佳境を迎えているプロ野球。クライマックスシリーズ(CS)で打席に立つ選手のちょっといかつい姿に、「おや?」と思うことはありませんか。顔の側面をすっぽり覆うフェースガードを着用する選手が増えているようです。
「安全のために着用」
18日にマツダスタジアムであった最終ステージ(S)第2戦。広島の3番で左打ちの丸は右ほおを、4番で右打ちの鈴木は左ほおを覆っていた。この日は春先から愛用しているメヒアが5番で起用され、クリーンアップの3人がそろってフェースガード姿で打席に立った。
丸と鈴木が試合で使い始めたのは10月2日から。もともと試してみたいと話しており、球団の用具担当を通じて発注し、届いたのが終盤のこの時期になったという。丸は「どんなものかなと思っていたけど、着けてみたら全然違和感がなく、気にならなかった。これなら安全のためにもないよりあった方がいいなと使っている」。
鈴木の念頭には8月の阪神戦で会沢が頭部死球を当てられたことがあった。「あごに当たった時にあるのとないのとでは違う。邪魔にならないなら安全のために着けておこうと」
フェースガードはヘルメットの耳あての部分に装着して使う。大リーグで着用する打者が目立つ。広島の打撃投手兼用具担当の豊田光さんによると、丸らのは米国のネット通販大手アマゾンで購入した。日本の通販ではヘルメットと同じ赤のものが見つからなかったという。
着け心地は?
ただ、着け心地には個人差があるようで、同時期に取り寄せた会沢は使っていない。「気持ち悪いです。来季はキャンプから試すかもしれないけど、少なくともシーズン途中から使うのは無理でした」
パ・リーグの最終Sを戦うソフトバンクでも流行している。先駆けとなったのが柳田。9月の上旬ころから打撃練習中に着用し、同30日からは試合でも使うようになった。現在は中村晃、川島も試合で着用し、松田宣も練習時には使っている。
柳田が興味を持つきっかけとなったのがオリックスの吉田正。自主トレーニングを一緒に行うなど仲が良い吉田正は大リーグ好きで知られ、フェースガードを使うことがある。「最初、吉田正にいろいろ聞いて取り寄せたんですけど。かっこいいですよね」と柳田。
丸も鈴木も柳田も球界を代表する打者だけに厳しい攻めに遭うことが珍しくない。ちょっといかついこの姿が強打者たちのトレンドになるかもしれない。(竹田竜世、甲斐弘史)