柴山昌彦文部科学相は19日、文科省をめぐる汚職事件に関連して省内を調査した結果、利害関係者から少なくとも2万円相当の不適切な接待を受けたとして、前スポーツ庁参事官の由良英雄氏(51)=現・経済産業省職員=を減給10分の1(2カ月)の処分にしたと発表した。柴山氏は「組織全体の責任をとる」として、2カ月分の大臣給与と期末手当を自主返納することも明らかにした。
汚職事件では、前科学技術・学術政策局長の佐野太被告が受託収賄罪で、前国際統括官の川端和明被告が収賄罪で起訴されている。省内調査の結果、9月には戸谷一夫前事務次官や高橋道和(みちやす)前初等中等教育局長ら4人が贈賄側の医療コンサル会社元役員の谷口浩司被告から不適切な接待を受けていたとして減給などの処分を受け、戸谷氏と高橋氏が引責辞職した。
由良氏は昨年6月、谷口被告から少なくとも2万円の接待を受けていた。また、「スポーツ界のコンプライアンス強化事業」をめぐって採択件数を2件から3件に増やし、技術審査採点で3番目の順位にいた谷口被告の関連団体の事業が採択されるようにした。文科省は「行政の公正さが疑われる行為」と認定した。
この問題で、スポーツ庁の鈴木大地長官は監督責任を問われ、厳重注意を受けた。また、初等中等教育局課長補佐級職員(当時)も谷口被告から7千~8千円程度の接待を受けたとして厳重注意となった。
ほかに、谷口被告以外の利害関係者とゴルフをした課長・室長級職員2人と、利害関係者にタクシー代を払ってもらった課長・室長級職員2人を国家公務員倫理規程違反として、厳重注意した。(矢島大輔)