大相撲九州場所(福岡国際センター)で13場所ぶりに十両に戻ってきた人気力士がいる。元関脇で東十両13枚目の35歳、豊ノ島=本名・梶原大樹、高知県出身、時津風部屋=。左アキレス腱(けん)の断裂で2年前に無給の幕下に転落。引退もよぎった苦境からの復活だ。初日からの3連勝発進にも「ここがスタート」と先を見据えている。
相撲特集:どすこいタイムズ
「何度もやめようと…」
11日に迎えた初日。2年半ぶりの土俵入りで大きな歓声を浴び、思わず感極まった。「めちゃくちゃこみあげるものがあった。泣いていい場所だったら泣いていたよ」
関取として土俵に上がるのは、幕内にいた2016年夏場所以来だ。翌名古屋場所の前に左アキレス腱を断裂し、2場所連続で全休。幕下に陥落した。
元三役の実力を考えればすぐに関取に返り咲くと見る声も多かったが、その後はふくらはぎのけがなどが重なり、前に出る力がなかなか戻らず。2度の休場を含め負け越しが3度。「何度もやめようと思った」。そんな時、支えになったのが妻の沙帆さんと長女の希歩ちゃんだ。幕下でも復活を信じた家族の「相撲をやめないで」の言葉に励まされてきた。
今年の春場所には西幕下35枚…