厚生労働省の再生医療製品を審議する部会は21日、脊髄(せきずい)損傷の患者自身から採取した幹細胞を使い、神経の働きを回復させる治療法を了承した。早ければ年内にも厚労相に承認され、リハビリ以外に有効な治療法がない脊髄損傷で、幹細胞を使った初の細胞製剤(再生医療製品)となる。公的医療保険が適用される見通し。
この製剤は札幌医科大の本望修教授らが医療機器大手ニプロと共同開発した「ステミラック注」。患者から骨髄液を採取し、骨や血管などになる能力を持つ「間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)」を取り出す。培養して細胞製剤にした5千万~2億個の間葉系幹細胞を、負傷から1~2カ月以内に、静脈から点滴で体に入れる。間葉系幹細胞が脊髄の損傷部に自然に集まり、炎症を抑えて神経の再生を促したり神経細胞に分化したりして、修復すると説明している。
安全性や有効性を確認するため、本望教授らは2013年から医師主導の治験を実施。負傷から3~8週間目に細胞を注射し、リハビリをした患者13人中12人で、脊髄損傷の機能障害を示す尺度(ASIA分類)が1段階以上、改善した。運動や感覚が失われた完全まひから足が動かせるようになった人もいたという。
国は根本的な治療法がない病気への画期的な新薬などを対象に本来より短期間で審査する先駆け審査指定制度を適用、安全性と一定の有効性が期待されると判断した。
ただ、間葉系幹細胞の作用の詳…