フィリピンを訪問した中国の習近平(シーチンピン)国家主席が20日、ドゥテルテ大統領と会談し、南シナ海における石油・天然ガスの共同開発に向けて協力を進めることで合意した。中国の国家元首がフィリピンを公式訪問するのは13年ぶりだ。
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中国とフィリピンは南シナ海を巡って長らく対立してきたが、2016年に大統領に就任したドゥテルテ氏は経済優先の立場から中国との関係を重視。今年4月、中国海南島の「ボアオ・アジアフォーラム」に参加した際には、習氏に「南シナ海を協力分野にしたい」と述べるなど、歩み寄る姿勢を示してきた。
こうした動きに応えるべくフィリピンを公式訪問した習氏は、今回、南シナ海の共同資源開発の合意にこぎ着けた。まずは共同の探査などが想定されるが、朝日新聞が入手した合意案ではその方法や具体的場所は記されていない。
先月マニラを訪問した王毅(ワンイー)国務委員兼外相は、共同開発について「領有権を巡る争いを棚上げした共同開発は、トウ小平氏が提案した政治的知恵に富む構想だ」とし、中国側の要望であることを明かしていた。中国外交筋は、そのメリットを「南シナ海の問題を二国間で包括的に処理できる。つまり、米国など無関係な域外国の関与を排除できる」と説明する。
南シナ海での各国の活動を規制する行動規範(COC)策定に関する中国ASEAN間の調整国をフィリピンが21年まで務めることも、フィリピンへの接近を後押しした。習氏は首脳会談後の共同記者発表でCOCに関し「今後3年で協議を完成させたい」とし、ドゥテルテ氏の役割に期待を示した。
習氏は、フィリピンの要望にかなう経済的な「お土産」も用意した。貿易の促進や農業支援のほか、シルクロード経済圏構想(一帯一路)に関するインフラ投資の促進でも合意した。
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