日本のパスポートは世界最強――。英コンサルタント会社がビザ無しで渡航出来る行き先数を数値化したランキングを発表し、日本は190カ国・地域で、初の単独首位になった。だが、日本がビザなしで受け入れる対象国は、その3分の1程度にとどまっている。どんな背景があるのか。
英「ヘンリー&パートナーズ」は、世界199カ国・地域を対象に、ビザ無し、または到着時のビザ申請で入ることができる国・地域を調査した。日本は過去10年間、6位以内で推移してきたが、今年に入り、ミャンマーからビザを免除された結果、単独首位に躍り出た。これまで189カ国で日本と並んでいたシンガポールが2位、ドイツ、フランス、韓国が188カ国で続いている。日本の外務省の担当者は、「日本の信用度の高さを示している」と胸をはる。
ランキングでは、欧米と東アジアの経済力の高い国が上位を占めているが、歴史的、地理的な事情も関係している。日本は、ブルキナファソ、赤道ギニアなどのアフリカの国々などに渡航する場合はビザが必要だ。米国は186カ国・地域で5位だが、ベトナムなどのかつての戦争相手や反米感情の強いベネズエラなどはビザが必要だ。
一方、日本がビザ無しで渡航を受け入れている国・地域は68にとどまる。ベトナムは日本人はビザなしで観光に行くことができるが、ベトナム人が日本に来るにはビザが必要だ。千葉県在住のベトナム人女性(31)は「6年前に初めて日本に観光で来た際も、事前にビザを申請するのは大変だった」と話す。ビザを取る際の提出書類が多い上に、発行までに1週間ほど待たされたという。
なぜ、このような不均衡が生じるのか。
外務省の担当者によると、ビザ…