安倍晋三首相は26日の衆院予算委員会で、北方領土について「4島」を前面に出す答弁を避けた。2島先行返還への方針転換を反映した形だ。また、北方領土が「不法占拠」されているとの表現もしなかった。交渉相手のロシアを刺激しないように配慮したとみられる。
首相が国会答弁に立つのは、14日にプーチン・ロシア大統領と会談してから初めて。会談では、平和条約の締結後に歯舞群島と色丹島の2島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に条約交渉を加速させることで合意した。
衆院予算委で自民党の井野俊郎氏はメディアなどで4島返還から後退したと取りざたされているとして、政府の姿勢が変わったのかただした。これに対し、首相は「政府のこれまでの姿勢は一貫しており、領土問題を解決して平和条約を締結する。この方針に一切変わりはない」と強調した。
プーチン氏との首脳会談に先立つ10月31日の参院本会議で首相は「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」と発言していた。こうした表現は外務省のホームページにも掲載されており、解決する対象はあくまで「北方四島の帰属の問題」だった。
ところが、首相は14日の首脳会談の後から「領土問題」と表現するようになった。26日の衆院予算委でも、解決するのは「領土問題」と答弁した。「平和条約交渉の対象は4島の帰属問題」と語る場面もあったが、「4島」への言及を避ける傾向が強かった。
26日の衆院予算委では、ロシ…