今年10月に約250億円の負債を抱えて倒産した企業のオーナーだった男性が2016年、自民党の政党支部2団体に対し、個人としてできる寄付の限度額である2千万円を超える計2100万円の寄付をしていたことがわかった。うち2千万円は身内議員への寄付だった。この身内議員には、男性の家族分も合わせて16年に計3千万円以上、17年にも計2380万円を寄付していた。
上限を超える寄付をしていたのは、さいたま市の建設会社「エム・テック」(倒産)の創業者で元社長の松野浩史氏。16年1~12月、元衆院議員の今野智博氏が代表を務める「自由民主党埼玉県第11選挙区支部」に対して8回にわけて計2千万円を寄付していたほか、同年12月に平井卓也・現IT担当相が代表の「自由民主党香川県第1選挙区支部」にも100万円を寄付していた。
政治資金規正法は、個人が政党支部に対してできる寄付の上限を2千万円と定めている。経済力の強さによって政治的な公平さが失われないようにするためだ。
松野氏から今野氏への寄付は、松野氏の長女が今野氏と結婚した翌年の16年1月から始まり、長女と今野氏が婚姻関係にあった17年まで続いた。16年には松野氏自身の名義で2千万円を寄付したほか、松野氏の妻や長男も500万円ずつを支援。家族ぐるみで3千万円以上の寄付をしていた。17年も、松野氏は2千万円、松野氏の妻も380万円を寄付していた。
今野氏によると、松野氏から「親族として政治活動を支援したい」と申し出があったという。今野氏は「大口の企業献金は面倒な面があるので受けていなかったが、松野氏個人の献金ということで受け取っていた」と語った。今野氏は17年の総選挙で落選している。
平井氏は松野氏の寄付が上限を超えていたことについて「知る立場にありません」と回答。松野氏には家族を通じて取材を申し込んだが、回答がなかった。(松本龍三郎、長谷文)
■「オーナーとして強い影…