ドイツの検察当局は29日、ドイツ銀行の従業員が租税回避地を利用したマネーロンダリング(資金洗浄)にかかわった疑いがあるとして、フランクフルトにある同行本部などを一斉に家宅捜索した。検察当局によると、同行の顧客が英領バージン諸島にマネーロンダリングを目的とする会社を設立するにあたり、50歳と46歳の従業員が手助けした疑いを持たれている。
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特集:パナマ文書
DPA通信によると、この会社は2016年だけで約900人の顧客から約3億ユーロを扱ったという。ドイツ銀行は29日、「パナマ文書にかかわることで捜索を受けている。当局には全面的に協力している」とする声明を出した。
パナマ文書とは、中米パナマの法律事務所から流出した膨大な内部文書で、世界中の租税回避地にある法人への各国の政治家や著名人の関与が記録されていた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)を経由して世界中で報じられると、権力者や有力者の資産隠しの実態を示すものとして注目を集めた。(ベルリン=高野弦)