総務省は30日、2017年の政治資金収支報告書を公表した。党本部の収入は自民党が約258億円(前年比7%増)で5年連続のトップだった。続く共産、公明、旧民進3党はいずれも前年比減。昨秋の衆院選直前に結党した立憲民主党は12億円、旧希望の党は20億円にとどまり、自民の1強ぶりが際立った。
自民党の収入の伸びは、12月にりそな銀行から15億円を借り入れたことが最大の要因だが、政党交付金収入が過去最多の176億円(同1%増)となり、寄付や党費の収入も、それぞれ09年の下野後で最多になったことが後押しした。
昨秋の衆院選で自民党は大勝したが、財政面の豊かさも他党を圧倒していた。衆院解散・総選挙などへの備えとなり、「貯金」にあたる繰越金は、10年末は7億円だったが、ほぼ右肩上がりで17年末は134億円(前年比1%増)に膨らんだ。過去20年で最多だった。
共産党の収入は212億円(同2%減)、公明党は120億円(同13%減)。両党とも、新聞販売などの事業収入が過半を占めるが、この部門の不振が響いた。
民進党は90億円(同15%減)で5年連続の4位。昨年10月の衆院選で多くの衆院議員が離党し、政党交付金が減ったことが響いた。5位の希望の党は、20億円の収入のうち11億円を昨秋の衆院選の公認候補らからの寄付や借り入れで賄う苦しい財政状況だった。民進党と希望の党は今年5月に合流し、国民民主党を結成した。
現在、野党第1党の立憲民主党は、衆院選公示直前の昨年10月に結党したこともあり12億円。日本維新の会の17億円(同35%増)を下回り、7位だった。ただ、候補者以外の個人献金で1億円を賄うなど、「草の根」に支えられた一面も見せた。(別宮潤一)