農林水産省は4日、和牛の受精卵を中国に持ち出そうとした事案が7月にあったとして、家畜伝染病予防法違反の疑いで刑事告発の手続きを進める方針を示した。農水省によると、大阪府の男性が、ストロー数百本を液体窒素のボンベに入れて中国に持ち込もうとした。中国当局に止められ、日本に戻った際に動物検疫所が把握した。ストローの中身は「和牛の受精卵」と説明しているという。
和牛の精液や受精卵は、日本からの輸入条件が決まっている国がなく、持ち出しはできない。今回は出国時に男性が申告せず把握できなかった。男性は「依頼された」と説明しており、農水省は事実関係の確認を進めている。吉川貴盛農水相は4日の閣議後会見で「大変遺憾。今後、告発の手続きも進めたい」と話した。農水省は再発防止のため、航空、船舶会社や、生産者団体に注意を促すとともに、特徴的な輸送容器を輸出しようとした者がいた場合は動物検疫所に報告するよう要請している。(荻原千明、山村哲史)