プロ野球阪神の藤浪晋太郎投手(24)が11日、兵庫県西宮市の球団事務所で契約更改交渉を行い、年俸1億2千万円から30%減の8400万円でサインした。1億円の大台を割り、3年前のオフの1億7000万円から半額以下に(金額は推定)。「がっつりダウンですけど、当然かなと。プロ野球とはそういうもの。活躍できなければ下がるもの」と、淡々と語った。
今季は13試合登板で5勝3敗、防御率5・32。春先は試合中盤で突然崩れるパターンが続き、2軍暮らしも長かった。シーズン終盤に2年ぶりの完封勝ちもあったが、「一言で言えば良くないシーズンだった」。
試合ごと、あるいはイニングごとで調子の波が激しかった。「リリースの合う日、合わない日の振れ幅が大きかった」と自己分析し、オフは体の使い方に重点を置いて鍛えるという。球団施設のほか、日本中央競馬会(JRA)騎手で今年史上初の通算4千勝に到達した武豊さん(49)が携わる京都市のトレーニングジムを利用している。
来季のテーマは「いい顔」だ。ヒントをくれたのは矢野燿大監督(50)だった。2軍落ちした際、掛けられた言葉が心に残った。「もっと野球を楽しんだらどうや。高校野球の時、楽しんで投げているお前の姿。ああいう顔が見たい」
制球や打球処理に苦しみ、阪神ファンからもブーイングを浴びるうちに、自分を追い込むような表情が増えた。「楽しむというのもとらえ方があって、ふざけるという楽しさじゃなく、活躍して成績が出れば楽しいですし、いい顔で野球をしていければ……」
やることに変わりはないが、「いい顔」を意識していれば肩の力が抜け、悪い方向にはならないと考える。今季は71イニングしか投げられなかったが、「目標は180~200回。目標は大きくしていかないと。(143回の)規定投球回が目標と言ってしまうと、そこで満足してしまう」。上がって、落ちて、まだ24歳。もう一度、登ることもできるはずだ。(伊藤雅哉)