東日本大震災から7年9カ月。東京電力福島第一原発事故が重しとなっている福島県に、いわき市出身のロッテ渡辺啓太(25)は特別な思いがある。
新人だった今季は6試合に先発してプロ初勝利に届かず、防御率4・82、1敗の数字が残る。6月14日のDeNA戦。5回無失点と好投してマウンドを譲ったが、後続が追いつかれて逆転負け。1軍で投げたのは7月9日が最後になった。「1勝もできなかったのが現実。球速や強さ、コントロール、変化球の質、すべてをレベルアップしないといけない」。来季への課題だ。
福島・いわきで震災体験
いわき光洋高の2年生だった3月、大震災に見舞われた。野球部の練習を終え、ファミリーレストランで仲間と遅い昼食を取っていた時だ。激しい揺れはしのぎ、けがをしなかった。
ただ、沿岸部に住んでいた同期のエース、遠藤将大さんは津波にのみ込まれた。生きのびた後、当時を振り返る遠藤さんの談話が2011年7月13日付の朝日新聞に載っている。「自宅から避難しようと、車に1人で先に乗っていたら、津波が来た。ジェットコースターみたいで、あら~という感じ。どこかにぶつかって沈み始めたところで、自動ドアが開いたので外に出た。水面まで浮上したら家の屋根が見えたので、そこで津波が引くのを待った(略)」
直後、東京電力福島第一原発の…