バドミントンのワールドツアーファイナルの女子ダブルスを制した高橋礼華、松友美佐紀組。リオ五輪金メダルペアにとって、キーワードは「型にはまらない攻撃」だった。
バドのタカマツが4年ぶり優勝 ツアーファイナル
第2ゲームの序盤。2人の位置がめまぐるしく替わった。いつもは前にいる松友が後ろに回り、攻撃を組み立てる。4―3の場面では、松友が後ろから相手の隙を突く強打。韓国ペアは驚いたように顔を見合わせ、うなだれた。
パワーの高橋と、技の松友。2人の必勝パターンは、高橋が後ろから強打を浴びせ、松友が前で仕留める形だった。だがリオ五輪後は研究され、それだけでは勝てなくなった。
2人をよく知る日本ペアとの対戦では、松友を後ろに下げさせる作戦に苦しんだ。「日本人同士だと、燃えない」と漏らしたこともある。そのなかで「誰にも負けないコンビネーション」を掲げ、高橋が前、松友が後ろなど、様々な形を試した。
この試合の終盤、4連続失点で20―20まで追いつかれた。それでも、高橋は「レシーブさえしっかりすれば大丈夫」と慌てない。そして、ここ一番で得意の形を見せる。高橋が後ろでレシーブし、浮いた球を松友が前で仕留めた。
国内のライバルがひしめく女子ダブルスだが、東京五輪の切符は2枚。来年4月末から1年間のポイントで決まる。そんな代表レースを前に、世界のトップ8が集う大会で1次リーグから全勝。「最後の大会で勝てたのは、大きな意味がある」。高橋は胸を張った。
五輪2年前のファイナル制覇は、リオの時と同じ。まさに、吉兆だ。(照屋健)