北朝鮮外務省米国研究所は16日、米国による制裁を批判し、「非核化の道が永遠に行き詰まる結果を招くかもしれない」と警告する政策研究室長の談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。停滞する米朝協議を受け、米国の譲歩を改めて求めたとみられる。
談話は、米政府による制裁活動などを非難。「米国は最大限の圧迫が通じないことを悟り、朝米共同声明の履行に誠実に臨むべきだ」と主張した。
「トランプ大統領自身も機会あるたびに朝米関係改善の意志を示している」と指摘。「米国務省が、朝米関係を昨年の原点状態に逆戻りさせようと躍起になっている」と批判した。同通信は13日の論評でも、ポンペオ米国務長官への不快感を示唆し、トランプ氏との差別化を図っている。
一方、労働新聞(電子版)は17日付の1面で、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が金正日(キムジョンイル)総書記の死去7年にあたり、遺体が安置されている平壌の錦繡山(クムスサン)太陽宮殿を訪れたと報じた。正恩氏は「寸分のずれも、一歩の譲歩もなく総書記の構想と念願を最後まで実現するために力強く闘っていこう」と訴えた。
金正恩氏の動静が伝えられるのは2週間ぶり。正恩氏の年内のソウル訪問は難しい情勢となっている。(ソウル=牧野愛博)