損得勘定だけ、でも理解できる…米軍シリア撤兵、識者は——贯通日本资讯频道
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損得勘定だけ、でも理解できる…米軍シリア撤兵、識者は

内戦が続くシリアからの米軍の撤退表明を受け、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で米軍と共闘してきた少数民族クルド人の勢力は、米国への反発を強めている。隣国イラクでもISの復活を懸念する声が出ている。識者からは、もともとシリア介入の根拠が薄弱だったとの指摘も出ている。


米軍シリア撤退、影響は バランス崩壊、戦闘激化の恐れ


米国に見捨てられる形になったクルド人中心の武装組織「シリア民主軍」は20日の声明で、「地域の不安定化と政治、軍事両面での空白をつくることになる」と不満を表明した。


シリア内戦では、国内にクルド人の分離独立問題を抱えるトルコが、クルド人勢力の拠点に越境軍事作戦を行うと明言している。シリアの別のクルド人組織は米軍撤退を受け「トルコの占領を推し進めることにつながる」と懸念を示した。


今もISによるとみられる攻撃が散発的に起きているイラク。ISが最重要拠点としたモスルがあるニナワ州の元知事はイラクメディアに、「米軍の撤退は治安に影響を及ぼす可能性がある」と指摘し、早急な対策が必要だと訴えた。


米軍撤退はアサド政権を支えるイランのシリアへの影響力を高める可能性がある。イランと対立するイスラエルのネタニヤフ首相は20日、「イランのたくらみには断固とした行動を取り、強化する。米国の完全な支援を得て行う」と語った。(ダマスカス=其山史晃、ドバイ=高野裕介、エルサレム=渡辺丘)


高岡豊・中東調査会主席研究員の話


米軍のシリア内戦からの撤退で、アサド政権の勝利は確実になった。アサド政権は今後、米軍が支援してきたクルド人勢力に対する圧力を強めるだろう。反体制派が制する北部イドリブ県の掃討も、政権側の判断ひとつで決められる。


米国はもともと、シリアに介入する盤石な根拠を持っていなかった。米軍の大規模な派遣をせず、反体制派による臨時政府樹立などの措置をとらなかったのもそのためだ。一方で引き揚げもできない状態に陥っていたところで、トランプ大統領が安全保障や国際関係上の要素を無視し、損得勘定だけで撤退を決めた。その判断は理解できる。


これに対し、ロシアとイランはシリアに死活的な利益を持つ。米国の支配下に置かれることを避けるため、介入も積極的だった。内戦を支えたことで、ロシアとイランはシリアに対する影響力を強めるだろう。さらに、今後はアサド政権が、レバノンやヨルダンなど親米周辺国への関与を強めることが考えられる。


米国が去ってもシリアのクルド人勢力は残っている。アサド政権が国内のクルド人を、シリアの国家・社会に統合していくことができるか、その扱いを注視していく必要がある。(聞き手・飯島健太)


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