来年4月に予定される福岡県知事選で、元厚生労働官僚の武内和久氏(47)が28日、自民党県連による推薦候補の公募に応募した。3選をめざす小川洋知事(69)は公募には応じず、個別に推薦願を提出。県連は29日、武内氏や谷口博文・九州大学教授(64)ら応募者3人から候補を絞り込む方針で、武内氏が軸となる見通しだ。
応募は4人。県連は29日、書類に不備があった1人を除く3人の面接を行う。知事選候補を検討する県連選挙対策委員会の大家敏志委員長(参院議員)は、小川氏の推薦願を「受け付けない」と明言。選考対象外との認識を示した。党本部との協議は年明けから行いたい考えだ。
武内氏は福岡市出身。厚労省を退職後、コンサルティング会社で勤務しながら、今年4月から九州朝日放送の情報番組にコメンテーターとして出演していた。九州朝日放送は28日夕、情報番組内で、武内氏から「知事選に立候補する意向がある」との連絡を受け、番組での起用を見合わせる、と公表した。
一方、過去2回の知事選で自民の支援を受けた小川氏は2016年の衆院福岡6区補選の対応をめぐり、自民や麻生太郎副総理との関係が悪化。自民との調整がつかないまま、20日に立候補する考えを表明し、28日に連合福岡に推薦願を出すなど準備を進めている。公募に応じなかったことについて記者団に、「前の2回と同じやり方で支援をお願いしたいと考えた」と説明した。
地元経済界や公明党は小川氏支援に前向きだが、自民が対立候補を擁立した場合には、難しい対応を迫られる可能性がある。公明県本部幹部は「小川さんでいきたいが、その時考えるしかない」と述べるにとどめた。