妻の同僚宅に放火したとして、現住建造物等放火の罪に問われた青森県八戸市の会社員長根祐太被告(31)に対する裁判員裁判の判決公判が7日、青森地裁であり、古玉正紀裁判長は無罪(求刑懲役8年)を言い渡した。
長根被告は2017年7月、八戸市内の2階建て共同住宅の外階段下で油類をしみ込ませたタオルを使って火を放ち、外壁などを焼損したとして起訴された。この共同住宅には、当時の妻の同僚が住んでおり、離婚を望んでいた妻と息子が一時、身を寄せていた。長根被告は捜査段階では容疑を認めていたが、公判では一貫して容疑を否認。検察側は「捜査段階の自白は信用できる」と主張した。
判決は「共同住宅の階段下という誰もが出入りできる場所の犯行で、被告人以外にも放火に及ぶことが可能な人物はいたと考えられる。捜査段階の供述も信用性が高いとはいえない」などとして検察側の主張を退けた。青森地検の吉武恵美子次席検事は「判決の内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。