河野太郎外相は9日、元徴用工の訴訟をめぐり日本政府が日韓請求権協定に基づいて韓国政府に要請した協議について「韓国側が応じるものと思っている」と述べた。訪問先のネパールの首都カトマンズで記者団の質問に答えた。
日本「弱腰見せられない」 韓国との関係、悪化の一途
韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決に関して日本政府が要請した協議は、協定の解釈や実施について紛争がある場合に解決する協定に定められた手続き。協議について韓国外交省は9日、「綿密に検討する」とし、態度を明らかにしていない。ただ、韓国政府が2011年に慰安婦問題について協定に基づく協議を要請した際、日本政府が応じなかった経緯がある。
河野氏は「以前、申し入れがあった際は協定に基づいて完全かつ最終的に解決しているということだった」と述べ、協議の必要性はなかったとの考えを示した。しかし、「今回は明らかに紛争がある」と説明。韓国の大法院判決は協定に反しているうえ、日本企業の資産も差し押さえられたことから状況が異なるとの考えを強調した。(カトマンズ=奈良部健)