同盟関係にある日米と、米国が「競合国」と位置づけるなど対抗関係にある中ロが、それぞれ自陣営にインドを取り込もうとしている。28日に大阪市で開幕した主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、双方がインドと会談を持ち友好関係をアピールした。そんな中、インドは戦略的に両方から最大限の利益を引きだそうとしている。
【特集】G20の情報をわかりやすく
【タイムライン】G20の動き
「(日米印それぞれの英語の頭文字をとった)JAIは我々の言葉で『勝利』を意味する。協力はますます深まっている」
インドのモディ首相は日米印首脳会談の冒頭、笑顔を交えてこう語った。会談では、3カ国の首脳会談を今後毎年開くことで合意した。中国を念頭に日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想を進めることでも一致した。
モディ氏が日米と協力を深める背景にあるのは、安全保障上最大の脅威となっている中国の存在だ。中国はスリランカやネパールなどインド周辺国で影響力を強めており、日米と協力して対抗する考えだ。
日米の側にもインドを取り込みたい思惑がある。「インドとの関係が今ほど良い時期はなかったと思う」。トランプ米大統領も28日のモディ氏との直接会談の冒頭でこう強調した。米国の安全保障問題の専門家によれば、米国にはインドと関係強化できれば、地政学的に中国の「背後」を取れるという計算がある。
インドは世界有数の武器輸入大…