政府は1日、韓国への半導体製造などに使われる化学製品3品目の輸出管理を4日から強化すると発表した。8月1日をめどに韓国を輸出許可手続きが免除される対象国からも外す。スマートフォン(スマホ)などの電子機器や半導体製造が盛んな韓国にとって日本からの3品目の輸入が制限される打撃は大きそうだ。韓国人元徴用工らへの損害賠償判決問題への事実上の対抗措置となる。
輸出管理を強めるのは、スマホのディスプレーに使われるフッ化ポリイミド、半導体基板に塗る感光材のレジスト、半導体洗浄に使うフッ化水素の3品目。いずれも日本が世界シェアの大半を占める。軍用品に使えるため、政府が外為法に基づいて輸出を管理している。韓国向けの場合は政府への輸出許可申請を免除していたが、この優遇措置を受けられる「ホワイト国」から除外する。
こうした措置を取る理由について、経済産業省の担当者は「(元徴用工問題の)対抗措置ではない」と説明する一方、「日韓間の信頼関係が著しく損なわれた」ためとした。
政府関係者によると、輸出が規制される3品目は、国内の中小企業の生産に影響が少なく、韓国経済に打撃を与えやすい品目を選んだという。ホワイト国からの除外手続きとして、7月1日から約1カ月間、パブリックコメントを実施する。8月1日をめどに韓国をホワイト国から外す方針だ。(西山明宏)
西村副長官「自由貿易に逆行しない」
西村康稔官房副長官は1日午前の記者会見で、半導体製造などに使われる化学製品3品目の韓国への輸出管理強化を政府が決めたことについて問われ、「今回の見直しは適切な輸出管理制度の運用が目的で、(元徴用工問題の)対抗措置ではない」と述べた。一方で、「韓国との信頼関係のもとで輸出管理に取り組むことが困難になっている」とも語った。
日本が議長国を務め、6月29日に採択した主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言では「自由、公平、無差別で透明性があり、予測可能な安定した貿易と投資環境の実現にむけて努力する」とうたったばかり。西村氏は今回の措置は「安全保障を目的とした。WTO(世界貿易機関)のルールにのっとっており、自由貿易に逆行するものではない」とも述べた。